「錦糸南天 冬の紅葉」という展示会が、茨城県水戸市植物公園で2023年1月7日~9日に開かれました。長年、水戸エリアで活動を続けている水戸錦糸南天同好会の主催により、毎年開催されているイベントです。1月8日(日)には、同好会によって錦糸南天の植え替え講習会も行われました。一般の人が無料で参加できます。この展示会および講習会に参加してきました。
●錦糸南天は江戸時代に変異でつくりだされた植物
錦糸南天は、縁起もの植物として知られる南天の一種です。江戸時代から明治時代にかけて変異などを重ねてつくりだされ、園芸植物としてたいへん人気を集めました。錦糸南天だけで、明治時代のピーク時は39種類あったといわれています。葉や葉柄のかたち、色などが種類によって異なり、それぞれがとてもユニークです。
古典園芸の文脈で語られる錦糸南天ですが、わたし(ゆきものオーナー)は、葉や葉柄のかたちの面白さや、枝や幹のラインの美しさなど、この植物が持つ造形そのものに魅力を感じています。
●植物も鉢も素晴らしかった
その興味が高じて、2022年1月に水戸錦糸南天同好会に入会しました。2023年の今年は、同好会のメンバーとして初めて展示にも参加させていただきました。
水戸市植物公園の、イベントや講習会などが行われる建物内の階段に展示されます。
錦糸南天・鶴の舞。レア系種類でしょうか。わたしは初めて拝見しました。水戸錦糸南天同好会の会長さんの出品の一つです。この錦糸南天も素晴らしいのですが、植えられている鉢に目が釘付けです。
こちらの展示も、古くから活動されているメンバーの方の作品です。
錦糸南天・曽我筏(そがいかだ)。いったいどれだけの年数がたっているのでしょう。同好会を支えてくださっている事務局長さんの作品の一つです。
●錦糸南天の専門家先生から学びます
講習会では、錦糸南天の植え込み方や管理方法についてレクチャーがありました。教えてくださったのは錦糸南天の育種に長年取り組まれてきた専門家先生です。 息の長い、地味で面倒で細かな作業をずっと続けられています。
水戸市植物公園のガーデンショップでは、展示会期間中、同好会によって錦糸南天が販売されていました(わたしも数時間だけ販売のお手伝いをしました)。
●水戸錦糸南天同好会は県外参加者が多くなるかも
長く活動を続けてきた水戸錦糸南天同好会ですが、近年は高齢化によって活動参加が難しい方々が増えているそうです。コロナ禍もはさみ、存続の危機に面しているかに見えましたが、嬉しいことに、今年の展示会後に、4名の新しいメンバーを迎えたと聞いています。しかも水戸エリアだけでなく、日本各地にお住まいの方々の参加です。
ちなみに、水戸錦糸南天同好会の活動は、実はこの1月の展示会開催のみなのです。ほかの時期に、定例会や講習会はないし、展示会も行われません。会のメンバーと直接会えるのは、毎年1月、水戸市植物公園で展示を行うタイミングが唯一です。ちょっとさみしいけれど、その放置ぎみなところに若干の心地よさを感じています。
●「会員みんなが同じ錦糸南天を1年間育てる」共通課題があります
水戸錦糸南天同好会では、特に活動がないと書きましたが、一つありました。毎年1月の展示会のときに、会員それぞれに錦糸南天の苗木1本が鉢とともに配布されます。これを会員各自は家に持ち帰って1年間育て、翌年の展示会で飾る、ということを行っています。それぞれが長年育ててきた錦糸南天の展示とは別に、会員共通の課題みたいなものとして実施されているようです。ベテランの方もそうでない方も、若い苗木を1年間培養した成果を見せる意図だと思います。
2022年に配布されたのは錦糸南天・白雀でした。下の画像は、わたしが1年間育てた白雀です。会のこの課題趣旨を理解しておらず、あやうく人に差し上げてしまうところでした。
2023年1月に配布されたのは錦糸南天・玉獅子です(下の画像)。趣旨を理解したので、来年の展示を見つめて、3月に配布鉢に植え替え、しっかり培養管理したいと思います。
●東京で自主勉強会を開催します!
やや放置ぎみに各自の自主活動が推奨されている錦糸南天同好会ですが、とはいえ錦糸南天の育て方や管理の仕方に疑問がわきます。知りたいことも出てきます。そのたびに水戸のメンバーに会いにいくことは難しい……。そこで、わたし個人のモチベーションから、盆栽鉢ストアゆきものにて、錦糸南天の自主勉強会を不定期に行っています。
錦糸南天にご興味ある方なら、植物経験を問わず、どなたでもウェルカムです。同好会に入らなければならない、錦糸南天を育てていなければダメ、などのしばりはありません。直近では2023年2月19日(日)に開催します(参加費は無料ですが、ご予約が必要)。勉強会の詳細はこちらをご覧くださいませ。